林業というお仕事(造林編)

Forest

こんにちは。Souです。
皆さんは林業というお仕事にどんなイメージをお持ちですか?簡単に言うと林業とは木を伐採してそれを売るお仕事です。ですがただ切って切りっぱなしにはしません。それではただの自然破壊になってしまいます笑 切ったらそこに新たな苗木を植えて、育てて、成長したらまた切って・・・というサイクルを繰り返していきます。規模の大きい農業みたなものですかね。

今日は林業という仕事ってどんなことするの~?っていうことについてお話したいと思います。
このページを見てくれている時点であなたは林業という仕事の存在はご存知だとは思います。そして多少なり興味を持っているのではないでしょうか。林業という仕事を多くの人に知ってもらいたいと思う私からするととても嬉しいです。
見渡せば至る所に木を使ったものはありますよね。家だったりテーブルだったり椅子だったり、小さい物で言えば割り箸なんかも木ですよね。最近は大型施設で木を多用したデザインも増えてきました。私たちの身の回りには木が溢れています。そして木質のものだったり木彫のものって結構人気ありますよね。
そんな素敵な木が私たちの手や目に触れるまでにはたくさんの人が関わっています。今日はその全ての始まりの山でのお話です。私の山仕事の経験も交えてお伝えします。この記事を読めば林業の年間スケジュールと作業内容が分かります!ではいきましょう!(今回は針葉樹の人工林を想定しています)

1.地拵(1〜3月)

まず最初に行うのは地拵(じごしらえ)という作業です。何をするのかというと、簡単に言うと山の掃除です。山の地面には当然ですが木の枝や腐ったり折れた木の残骸なんかが散乱しています。これでは次に行う植付(うえつけ)が行えません。なので次の作業に邪魔になるゴミを集めてまとめておきましょうという作業です。山にもよりますがこの作業、なかなか大変です。大きくて動かせないような木が倒れていたりするのでそういうのはチェーンソーで切って人力で動かせる大きさにして運びます。細かい枝などは太めの木の枝で作った通称「まくり棒」でかき集めていきます。

2.植付(3〜6月)

次は山に苗木を植え付ける植付(うえつけ)作業です。1ヘクタール(ha)(=10000㎡)あたり2500本〜3000本の苗木を植えるのが一般的なところかと思います。それもただ植えるのではなく等高線に沿ってまっすぐ植える必要があります。これは次の作業である下刈(したがり)作業のしやすさに関わってくるので重要です。私が林業の世界に飛び込んだ当初はこの「等高線なりに歩く」ということを身体で理解するのが少し難しかったです。これは毎日歩いて慣れるのが1番です。先輩には「斜面でも目線の高さを変えずに楽に歩けるのが等高線なりだ」と教わりました。植付けには主に唐鍬という農作業で使う鍬より少しコンパクトな道具を使ったり、土の柔らかいところではディブルという穴を空ける道具を使います。
大体1日に植える本数は1人当たり200〜300本程度が基本です。なので1ha植えるのに2人で作業して約2週間弱というところでしょうか。苗木袋を持って道具と飲み物を持って斜面を歩き回る…なかなかのハードな作業です。楽な作業ではないですが植え終わった斜面を見るとなかなか達成感があります^^

3.下刈(6〜10月)

次は林業の中でもキツイ作業ランキングトップに君臨する真夏の下刈(したがり)です。苗木が周りの草よりも低い時は周囲の草に苗木が覆われて日光を十分に浴びる事ができなくなったり、土の養分を奪われたりしてしっかり成長できずに枯れる危険性が高くなります。これを避けるために斜面を等高線なりに横歩きしながら苗木と苗木のあいだの雑草木を刈払機で刈っていきます。苗木が周りの草よりも高くなるまで3〜5年間この時期に下刈を行います。下刈の辛いところはなんと言っても暑さです。「山仕事は下刈を乗り越えられれば続けられる」と言われるほどの過酷な作業です。夏場の時期ということもありただでさえ暑いのに草を刈るとそこから水分が蒸発してきて蒸し風呂状態になります。サウナの中で荷物を持ちながら斜面をウォーキングしているようなものです。これはきついですね。水分補給は2リットルでも足りないくらい必要になります。気を抜くと熱中症になるのでこの時期の体調管理は重要です。
これだけキツイ下刈ですが、終わった時の達成感はやはり大きいです。下刈が終わり綺麗になった現場を見た時の爽快感は格別です。

4.除伐(10〜1月)

次は除伐(じょばつ)という作業です。植付けから7〜15年程経ち、下刈も終わった林分を対象に行います。除伐は通念行う事ができる作業ですが、他の作業が時期もののためこの時期に行うことが多いです。何をするかというと、植栽樹種の成長を妨げる、自然に侵入してきた成長旺盛な広葉樹や、枯死してしまった植栽木を伐倒します。伐倒をしながら植栽木につるが巻いてあればそれも切って取り除きます。つるは放置すると木を締め付け材の価値を下げてしまう上に、伐倒する際の危険要素にもなるのでしっかり確認する必要があります。使用する道具は主に刈払機です。え、刈払機で木を切れるの?と思うかもしれませんが、切れるんです!笑 太さ15センチ程度までなら刈払機で切れてしまいます。ただ、切れ味が良いことが前提なので目立てをしっかり行うことが重要です。

5.除伐2類(10月〜1月)

最後は除伐2類(じょばつにるい)です。だいたい20年以上経った林分を対象に行います。さっきの除伐と似ていますが目的が少し違います。除伐は雑木や枯死木を除去し、成長を促すのが目的であったのに対し、除伐2類ではある程度木は成長して林内が混んでくるので、成長の遅れていたり曲がっている劣勢木を除去し、樹木同士の距離を少し空け、林内に光が入るようにします。そして優勢木の肥大成長を促すのを目的としています。つまり、今までは上に伸びろ〜!って育てていたものを、今度は太くなれ〜!という育て方にシフトしたっていうイメージですね。この時に使う道具は主にチェーンソーで、劣勢木をバッタバッタと倒していきます。この段階では若い林分だと木の太さは15センチ以上になるものもあります。15センチなら細いから楽勝じゃんと思うかもしれませんが、自分の方に倒れてきたりすると動かせないことはありませんが重たいし怪我するには十分な威力をもっています笑 なので今までの作業よりも一撃の威力が大きくなるのでこれまでの作業にも増して注意が必要です。

まとめ

ということで林業のスタートのスタート、1年間の造林作業について紹介してきました。書きながら改めて思ったのは、「楽な作業は1つもない!」ということです笑
時々「都会の生活に疲れたから田舎に移住してほのぼの林業でもやってのんびり暮らすかな〜」みたいな感じで転職を考える人を見ますが、正直そんなに甘くはないです笑 林業は重労働で危険度も高い仕事の一つです。命の危険も少なからずあります。林業への就業をお考えの人は頑張るぞ!と気持ちを決めて進んでくれたら悲しいギャップに苦しまなくて良いかなと思います。
少し厳しいことを書いてしまいましたが!林業の仕事にも良いこと、楽しいことはたくさんあります。それはやってみなければ分からないことが多いですが、今後そういう内容も紹介していきたいと思います。それぞれの作業内容に関しても更に詳しく語りたいです。
それでは今回はここまでとします。ありがとうございました。

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