こんにちは。Souです。
今回は私が山仕事をしている時に感じた死を意識した瞬間を5つ紹介します。
林業は危険な仕事であるというのは多くの人が知ることだと思います。ですが実際どんな事が危険なのか、どんな気持ちや感覚になるのかを知る機会はなかなかないのではないでしょうか。経験者からの注意喚起と自分への戒めとしてなるべく生々しく書きたいと思います笑 それではいきましょう!
まず一つ目は植付作業での事です。植付け作業に危険なんてあるの?と思う方もいるかもしれませんが、
シンプルに地形によってはめっちゃ危険です笑
皆伐が完了し再造林のための地拵が終わった後の山というのは草木が全く生えていない本当に「ただの山」なんです。そこはバランスを取ったり安全を確保するために掴まる木や、足場を固めてくれる下草はありません。
「滑ったら下まで行っちゃうね^^」
な環境なわけです。そしてポイントは「砂山」だということです。遮る物が何もない地表には日差しが照りつけ、元から砂と土の中間みたいな土質が乾燥により更にサラッサラになった場所は一歩進むごとに足元が滑ります。
万が一体制を崩して谷川に転んでしまったら…想像しただけで余裕で死ねるなぁ…って思っていました。
下を見ると吸い込まれそうだったのでただまっすぐ等高線なりに自分の歩くルートをイメージして進行方向か苗木を植付ける場所しか見ないようにしていました。
2つ目は下刈作業です。
夏の下刈はほんとにキツい!
草が少ないところはまだいいですが自分の背丈以上の草が鬱蒼と茂ってるところは刈っても刈ってもなかなか進みません。
強い日差しを受けた草からは水蒸気が発生し体を包みます。外にいながらサウナにいるような感覚です。休憩しようにも高い木は無いので日陰もなく、日差しのあるサウナでじっとしているので休憩しながらしんどいという謎の状況が生まれます。
Tシャツからは汗がしたたり絞れば
「ジャー!!」
っと勢いよく出てきます。
人間の身体ってほとんど水分でできてるって本当なんだなって実感できます。そしてこれを午前と午後の2セット行うので水分なんか飲んでも飲んでも足りません。
この時期は常になんとなく喉が乾いていますし慢性的に熱中症なんじゃないかと思っています。着替えは必ず3枚用意するので洗い物も増える増える…と話が逸れましたね。
特にキツいのは6月の初夏の時期で、身体が暑さに順応していない時期にグッといきなり気温が上がった日です。頭はぼーっとして全身が熱く、水分は補給してもしても足りる気がしなくなった時がありました。
熱中症はその時よくても後から体調に響いてくることもあります。熱中症に対する注意を受けていたこともあってその時は
「あ、結構やばいかも」
と思い帰ってから部屋を涼しくして水分と塩分を補給して身体の熱を放出するようにしてよく寝たら回復しました。
現場でもキツいな〜と感じたら無理をせず休憩を取ることをおすすめします。体調管理も大事な仕事です。
ここから3つは伐倒作業中の出来事です。私の未熟さも大きな要因の1つなので経験の浅い方は同じ目に合わないようにこんな奴いるんだ〜という感じで見てください。まずこれは私が山仕事を始めて1番痛かった経験です。
その日は特に天候が悪いということもなく普通に作業をしていました。間伐の現場で、直径60センチ程の大きめのスギの木を切ることにしました。
上ヨシ!周囲ヨシ!退避場所ヨシ!伐倒方向ヨシ!切りまーす!
受け口を掘り、チェーンソーのガイドを合わせて伐倒方向を確認、追い口を片側半分切ってクサビを入れつつ回し切り、じわじわと傾き始める木、予定している位置まで切ったところでよし、退避しよう。
「バシーン!!」
その時私の右肩に衝撃が走りました。
「いっっっっだぁぁぁ!?!?」
一瞬何が起きたか分からず、冗談抜きで肩が砕けたかと思いました。1分程その場でうずくまり若干痛みが和らいだところで地面を見ると直径5センチ程の枝が落ちていました。
「…これ?枝としては細くはないけど太くも無い殺傷能力なんて無さそうなこの枝が?あの威力なの?」
その時思ったのは
「このサイズで良かった〜〜!」でした。
このサイズでこの威力なら極太の枝とか当たったら最悪死ぬだろ。今回は肩だったけど極太かつ頭に当たってたら俺死んでたろ。怖すぎる。切る前に上ヨシとかやったけど意味ないじゃんそりゃそうだ枝が折れるのは倒れ始めて他の木と接触した時だもんな。降ってくる枝を避けるの無理ゲーだろ。
とかいろいろ思考が巡りました笑
後で考えたらその時は上手く倒すことに意識をしすぎて退避が遅れたのが原因の一つだなと思いました。
それから私は伐倒の時はすぐ退避するようになりました。退避大事。スグ、ニゲロ。
その後、幸い骨は折れていませんでしたが、家に帰って負傷した所を見たら肩が今まで見たことないドス黒い色をしていてえげつない打撲を負っていました笑
これもなかなか怖い経験でした。その時も50センチ程の大きめのスギの木を切ろうとした時でした。
その時はまだあまり大径材を切る経験が少なく、端的に言うとビビっていました笑
林業という仕事は危険が多いので危険に対して「正しく」怖いという感覚を持ち続ける事は私は大切だと思っています。ですがこの時は何も分かっていないままなんとなく怖がっていたのがよくありませんでした。
受け口を入れ、追い口を入れていく時に頭をよぎったのは
「切り過ぎてツルが無くなって変な方向に倒れたら怖いな」
でした。
そこで私はイメージよりも気持〜ち(実際はかなり)ツルを残しました。もちろんそのままでは倒れていかないのでクサビを入れ一生懸命叩きました。
全然いかないな〜と思いながら叩きまくっているとミシミシッという音がしたので倒れると思って退避しました。その瞬間
「バリバリィッ!!バキッ!!ドーーン!!」
なんと立木が追い口を入れた所から縦に裂けました。裂けて木の半分が跳ね上がったところで重みで真ん中のあたりから折れて落ちたのでした。その光景を見て数秒ぽかーんとしてから
「木ってこんなやばい動きすんの?」
が最初の感想でした。
木がどのように動くか「理解している知識」の少なさから中途半端な事をしてしまった自分の未熟さを痛感しました。
休憩の時その場所を見ていろいろ察した師匠から
「ツル残しすぎると裂けて木の後ろに立ってる人は弾かれる。下手くそ。死ぬぞ?」
と言われ血の気が引きました。辛辣ぅ~でもぐうの音もでねぇ…「切るべきところはしっかり切る」を学んだ日でした。
最後はシンプルにして私が最も死を意識した瞬間を紹介します。
こちらも大径材。(私大径材の伐倒下手すぎでは?)この失敗には大きな原因が2つあります。
1つ目「重心の方向を見誤った」
2つ目「受け口を切りすぎた」
以上です。これを踏まえて流れを追っていきましょう。
その時は現場に作業道を入れるため、作業道が通る予定の位置にある支障となる木を胸程の高さで高切りしていました。
そして問題の木に到達した私は基本通り上を見て重心を確認しました。
ですがその木は枝の張り方、傾き方向が当時の私には均等(に見えただけ)に感じました。
つまりまっすぐ立っているように見えたんですね。なのでクサビを入れれば倒したい方向に倒れるだろうなと思った私は倒しやすく機械が来た時に取りやすいであろう斜面に対して斜め下の谷川に倒すことに決めました。
ここがまず1つ目の失敗、重心は山側にかかっていたんです。
次に私は受け口を掘り始めましたが、胸程の高さで切っているためいつもと見え方が違うせいかどうしても納得いく受け口が作れず修正を繰り返すうちに木の半分近く切ってしまいました。
ミスったと思いつつもまぁ重心は後ろじゃないと思い込んでいるのでちょっと追い口を切ったらすぐクサビ入れて叩けば倒せるだろうと考えていました。ここが失敗2つ目です。
そこから追い口を入れ始めました。チェーンソーのバーが全て木に入ったあたり、そろそろクサビを入れようかという時、
チェーンソーが動かなくなりました。
バーが木に喰われたのです。やばいと察した私は引き抜こうとしますがチェーンソーはびくともしません。それどころか上を見ると徐々にこちらに木が迫ってきていました。
「あ、これはやった。チェーンソーはもう無理だ。自分もここにいたら死ぬ」
瞬間的に察知した私はチェーンソーから手を離しダッシュで離れ立木の影に隠れつつ倒れる木の行方を見ました。その瞬間
「グシャッ!ズン…」
木が倒れる瞬間、チェーンソーは木から地面に落ち、その上に木の元が直撃しチェーンソーはペしゃんこになってしまいました。
そして自分に向かって木が倒れてくる経験をしてしまった私は心臓が飛び出るかと思うぐらいしばらく鼓動が収まりませんでした……。
師匠に報告して一緒に現場を見た時に、怒られるかと思いましたが
「とりあえず怪我が無くて良かった。誰でもチェーンソー壊す時はあるし重心見誤る事だってあるからあまり気にするな。ただ切り方の基本ができていなかったしまだ木切りを分かってない。勉強になったな」
と言われたのがいろいろ沁みました。
私が山仕事で死を意識した瞬間5選、いかがでしたか?林業経験が浅い方はこれを反面教師にして頂いて、林業に興味を持っているけど悩んでるという人には刺激が強すぎたかもしれません笑
恥ずかしいくらい完全に自分の未熟さ故に起きたことばかりでしたが、その上で書いていて思ったのは
「知識が無いと無自覚に死に向かっていく」
ということです。常に学んで吸収していかないと避けられる危険を避けられません。
林業の場合は死なない程度の危険に晒されるのが一番成長すると思っていますがなかなか難しいです。林業に限らず頭使って生きていかないといけませんね。中には枝直撃みたいな理不尽な事故もありますけど…笑
それでは今回はここまでにします。ありがとうございました。
皆さまどうかご安全に!!
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